手本そっくりに書かなくてよい


よく教師が「手本そっくりに書きなさい。」と言っているのを聞きますが、この言葉には気をつけなくてはなりません。
「そっくり」に書くことは、
子どもたちにとって大変高度な要求なのです。
教科書の手本を執筆しているのは、もちろん数十年も書を鍛錬してきた書道の先生です。
その先生でも教科書の手本を執筆するときは、1箱1000枚入りの半紙の箱を、納得するまで何箱も練習するそうですから、その
手本「そっくり」になんて書けるはずはありません
「体育」におきかえれば、オリンピックの水泳選手の動画を見せて「同じように泳ぎなさい」と指示しているのと同様のことなのです。
もちろん、指示している教師にもできる(書ける)はずはありません。

実は、
「手本そっくりに書く」のが書写の目的ではないのです。
手本の中から
文字を整えて書くための原理原則(方法)を「発見」し、「理解」し、同じ文字で「練習」し、他の文字で「応用」し、「定着」することが、書写の目的なのです。
「原理原則(方法)発見」のため、「手本」を「よく見て書く」ことは必要ですが、
「手本そっくりに書く」ことは「無理」なことなのです。
「書写」は教科書に最高のものが示されているため、「手本」に追い込むと
学習者には「つらい学習」になってしまいます。

教師は子どもでも「できる目標」を設定し、そこで「評価」してやらなければ、ますます書写嫌いな子ども書写に劣等感を持った子どもを作ってしまうのです。
つまり、その授業の
「ねらい」だけ達成されればよいわけで、その「ねらい」を達成できたらしっかり誉めてやりましょう。授業の「ねらい」以外のことはたとえできてなくても多くを指摘しません。

もし、単元の目標以外に付け加えるならば、
@
既習事項の復習
A子どもたちの
実態から分析した共通的な課題 等を数点にしぼって共有する。
または、
子どもたちに自己課題を設定させるべきでしょう。(自己課題も多くなりすぎないように留意させる)