朱で直さなくても良い?



毛筆書写といえば、「書いた半紙をもって教師の机に行き、順番に並んで添削し
てもらう。」光景が頭に浮かびますが、これは習字の塾でよくされているやり方であり、
学校での授業ではよい指導とはいえません。

半紙を持ってこさせて朱で直してやれば、確かに個別指導はできます。しかし、この
方法では子どもたちは順番を待つ時間が多く、その分練習したり、発見したり、評価
する時間を確保できなくなってしまうのです。
順番を待っている時間は非常に無駄な時間です。もし朱で直してやりたいのであれ
ば、練習時間中に教師が朱を持って児童の机を回った方が効率的です。しかし、これ
でも40人全員を指導して回るのは大変時間を要するでしょう。
短時間で多くの児童の個別指導ができる方法を工夫しなければなりません。

<個別指導の際の工夫>
@1文字または数文字すべてを直したりしない。授業のねらいについてのみ部分
的に指導する。
A朱で直す、実際に半紙に書く、または児童の手を持って書く指導。
BOHPシートに「手本のかご字」を書いたものを、子どもの書いた字の上に載せ
て指示・指導する。
C「できていないこと」の指摘ばかりでなく、ねらいの中で「できていること」を見
つけてほめる指導。
D「この線を長くしてみよう。」「この部分の中心がずれているよ。」などの「言葉」
による指導。
E多くの児童に共通した課題の場合は全体指導に切り替える。

以上、短時間でできる指導と丁寧に時間をかける指導を子どもたちの実態に応
じて使い分ける。つまり、課題の少ない児童にはCDの短時間指導、課題の大
きい児童には@Aの指導といったように指導時間をうまく使い、なるべく多くの児
童に声をかけることは必要だ。