子どもの前で書いて見せなければならないか


書写の授業は、毛筆で書く技術を教えるのだから「こうやって書きます。よく見ましょう。」と子どもたちの前で書いて見せればよいのでしょうか。しかし、「自分は書写が苦手で、毛筆で書いて見せることができない・・どうすればよいのだろう。」こんなふうに思って困っていませんか。

現実には多くの小学校の教員・中学校国語科の教員は、もちろん「書道」の専門家ではありませんから、「あなただけ」ではなく、
多くの教員が同じ悩みをもっているのです。しかし、小学校の「体育」や「図工」の授業では、自身は実技ができなくても大変分かりやすい指導をしている教員は多くいます。「書写」についても同じことなのです。教師が書けなくても、書いて見せなくても、子どもたちに書写の力をつける楽しい授業をすることは可能です。

なぜなら、「書写」は「素晴らしい毛筆の作品」を仕上げることが目的ではなく、
文字を整えて書くための「原理原則」(きまり・方法)を理解させ、その原則を子どもが日常的に使えるようにすることが目的です。ですから、教師は、子どもたちに教えるべき内容(文字を整えて書く原理原則)を知り、どのように授業を進めるのかを工夫すればよいのです。

スポーツの世界では、良い選手が必ず良い指導者ではないといわれます。「天才的な勘」を持っているよりも、苦労して努力をした選手の方が、指導者としては良いのでしょうね。
「苦手な人」には「苦手な子ども」の気持ちが分かるという強みを持っています。「このように指導すれば、苦手な子どもたちにも分かり易いだろう。」と工夫してみてください。

ただし、「基本点画(横画・たて画・おれ・右はらい等)」の筆使いは、
「書写」の「基礎基本」ですから、「基本点画」程度は練習しておくとよいでしょう。3年生の毛筆授業のスタートでは、筆の使い方を教師が実際にやってみせるのが効果的です。難しい場合は、教科書のQRコードで動画を見せましょう。

その他の授業では「課題文字」すべてを書いて見せる必要はありません。「課題文字」全体については、教科書のQRコードで書いている動画を見せるとともに、
よく見てほしい部分(文字を整えて書く原理原則)について「解説」することで、子どもたちはただ漫然と動画を見るのではなく、大切な部分に集中させることができます。