手本は教科書をそのまま使うのか?



「大筆は右に、小筆は左のままでもよい」
@大筆について
鉛筆の場合は左手でも書くことができますが、毛筆の場合左手で書くと、書いている字を手が隠してしまいます。また、左手で筆記具を持つと横画を書く時は筆先を左から右に押して書くようになります。硬筆の場合は筆先が硬いため押しても書くことはできますが、筆先の柔らかい毛筆の場合は押すと筆先が押し広がってしまいます。毛筆の場合は右に引くようにして横画を書くのであり、右に押して書くことはできないのです。つまり毛筆は左利き用にはできていないので、右で書かせた方がよいということです。
筆を右手で持たせるためには、初めて筆を持つ時が非常に重要です。上記の説明をした後、「大筆は大きい字を書くから、右手でも書けるよ。」と右手に持たせるのがこつです。3年生で毛筆学習が始まった時はほとんどの児童が大筆を持つことが初体験です。加えて、大筆の持ち方は鉛筆の持ち方と違うため「右きき」の児童であってもうまく持つことができません。大筆を右手で持つことは「右きき」も「左きき」もほぼ同じ条件で困難さがあるのです。「大筆は右手で持つように作られています。全員が初めて大筆を持つのだから、みんな右手で持ってみましょう」と声をかけます。左手で少しでも書かせてしまうと持ち換えることが難しくなるので、初めて筆を持つときが勝負であるといえます。

A小筆の場合
小筆は大筆と違って、穂をのりで固めたまま使用します。つまり、大筆と違って穂先が硬いため、押して書くことが可能です。また、小さい文字を書くので、鉛筆と同じ感覚であるため、「左きき」を「右きき」にさせることはかなり困難を伴います。小筆は無理に「左きき」の子に右で書かせなくても良いでしょう。